ロシアショック

大前氏の近未来予測書。中国、東欧と来て次はロシア。ロシアは2020年までに世界経済にとって極めて重要なポジションを占めることになり、また日本にとっては大きな市場=チャンスとなる。ソ連邦崩壊で一度地獄を見ているので、戦後日本のように大変革が可能であった。日本はソ連時代の北方領土問題、冷戦構造を引きずり平和条約も締結できない現状はまことに愚かであり早急な打開を訴える。日本人にとっては信頼できない国であるとのイメージが強いが、ロシア大衆はBRICSの比較でも極めて親日的。ビジネスは官僚主義の打破は必要であるが基本的には西欧的な合理主義である。全体主義の中国よりは自由主義経済に近い。例によって豊富なデータをビジュアルに駆使し説得力は十分。ただ最終章のコソボ地域紛争については読む側にあまりになじみがない。逆に北方領土の問題はモスクワから見れば同じレベルであろう。

  • プーチンはフラット税制(13%)を導入すると同時に脱税の取り締まりを強化し、マフィアの闇資金を一気に表に出させた。これにより財政は好転。消費は拡大した。
  • プーチンの支持率は92%。一旦院政を敷き、大統領を降りたが、4年後には復帰。2020年まで権力の座にある。
  • ロシアの富の源泉は「国土」「資源」「人材」、高い教育を受けた技術者の軍事産業からIT分野への転身が目立つ。
  • 国土は「欧州ロシア」「シベリア」「極東」に3分される。「シベリア」に資源が集中する。この富を開発したのはピョトール大帝。「極東」は人口少なく中国の潜在的脅威にさらされる。
  • 男性の平均寿命は60歳に達せず。

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