気骨の判決

終戦間際に当時の大審院で大政翼賛選挙を無効とする画期的な判決が下った。軍部の圧力に屈せず司法の独立と良心を示した裁判官が主人公。清心で暖かい人柄として描かれる。結果として戦後の完全な三権分立、検察の独立に道をつけたことになる。空襲で焼失したとされていた判決文が発見され事実の解明がより進んだ。著者は元NHK記者。緻密で丹念な取材と明細な文章。評判通りの内容で満足。

気骨の判決―東條英機と闘った裁判官 (新潮新書)

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