ミーナの行進

家庭の事情で親戚に預けられた少女を待っていたのは、飲料会社を経営する伯父の芦屋の豪邸とそこに過ごす不思議な人々。一つ下の従姉妹は喘息の持病のため、コビトカバで小学校に通っている文学少女。思春期の入口にいる多感な少女が一年間の生活を通して、互いに成長していく。淡い恋とのぞき見る大人の事情。カバの寿命による死は少女の自立を象徴する。淡々と描かれたファンタジー。時代設定はミュンヘン五輪の頃で私とびったしいっしょ。多彩な登場人物を描き切る筆力はさすが。装丁と挿絵が素晴らしい。家族に勧めたい秀作。

ミーナの行進

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