羽生名人のエッセイ。もちろん主題は将棋に対する自らの姿勢である。好きなスポーツやビジネスに巧みに一般化することで、多くの読者の共感を呼びベストセラーとなった。目次を拾えばビジネス書の格言集の様。若い頃の勢いや鋭さはむしろ影を潜め、老成、円熟の境地にある。読後感としては全体に淡々と平坦な印象。最近の棋界の動きに興味を覚える。
- 将棋にもっとも必要なのは「決断力」である。
- 直感の7割は正しい。ただ経験、知恵がその精度を高める。
- 「仕事に行き詰まった時は整理整頓。」エンジニアだった父君の教え。
- 仲間同士の格付けは必勝の秘訣。相手に強いと思われると対戦上優位に立てる。企業での評価と同じ。
- 将棋の歴史は戦国時代から400年以上だが、定跡が体系化したのはここ20年位である。
- 将棋は「定跡」が正しい。定石は囲碁用語
- 近代将棋は、序盤のしのぎあいに時間をかける。如何に主導権を握るか。中盤以降は上手に手を渡す。
- 作者: 羽生善治
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2005/07/01
- メディア: 新書
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