ボーイズ・ビー

母親を無くした子供と頑固な靴職人の老人との心暖まる交流。純文学というよりはエンタメ系。母親の死を理解できない弟のための対策を練るうちに、お互いなくてはならない存在となっていく。その距離感の縮めていく描写が見事。互いの独白での進行はよくある構成であるが、つねにユーモアを忘れず快調なテンポを保つ。しっかりものの少年が父親に本当の気持ちをぶちまけるところがクライマックス。美化された母親への想いがひとつひとつはがされていくのは哀しいが、そうして悲しみを乗り越えていくということだろう。一方老人はやがて周囲の人間の協力に支えられスランプから脱するハッピーエンド。やや類型的ではあるが良くできた一作。

ボーイズ・ビー (幻冬舎文庫)

ボーイズ・ビー (幻冬舎文庫)