与太郎戦記。

柳昇師匠の一兵卒としての戦記。東京で健二の誉れとして入営し、機関銃部隊の兵長殿として中国駐屯から、最期は輸送船の護衛部隊として対空戦闘に従事する。日常の兵営生活と人間関係が軽妙なタッチで描かれる。人情家でその暖かい人柄から自ずから部下、同僚に慕われるがその多くを戦場で失うことになる。淡々と語るところにむしろ反戦の想いを感じる。落語家に転じるのは戦後で、武蔵野の農家の出。戦前は横河電機勤務とは意外。

与太郎戦記 (ちくま文庫)

与太郎戦記 (ちくま文庫)