巨大銀行システム崩壊

みずほ銀行の統合の内情を描いたフィクション力作。実名に近い企業名が次々登場する。社会的には開業後のシステムダウンが世間の注目を浴びたが、内部では事前に予測されていた。各銀行トップ同士の宥和政策のため結局責任が明確でなくなり、大きなトラブルを呼んだ。他山の石とすべき。タイトルと異なり主題はむしろ金融庁の特別監査。ハードランディングをめざす政府との興銀側の厳しいせめぎあい。ストーリーテラーとして作者は銀行/官庁/マスコミの登場人物とその家族にやや強引な人間関係を設定しているが、さほど不自然でなく無理なく読みこなせた。

小説 巨大銀行システム崩壊

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