この国の品質

辛口の評論集。講演、エッセイ、ルポの3部構成になっており、互いに重複するのは序文で断りがあるので承知済み。はやりの「品格」でなく無機質な「品質」としたのは底が抜けようとしている現代日本社会を冷徹に見据えるため。小泉、安倍政権を痛烈に批判。また情報を精査せず垂れ流すメディアにも手厳しい。民俗学の巨人宮本常一の観察眼が常に意識され、国民全員がそれぞれ「読む力」を身につけるべきとする。硬派の評論であったが、一気に引き込まれた。参照文献に手を伸ばしたい。

  • 高度経済成長は失われた満州を日本へ取り戻そうとする壮大なゲームであった。
  • 記憶されたものだけが、記録される(宮本)
  • 記録されたものしか、記憶されない(佐野)

この国の品質

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