[書評]昭和の三傑

鈴木貫太郎幣原喜重郎吉田茂維新の三傑になぞらえて、敗戦日本に復興をもたらした英傑とする。戦勝国アメリカ相手に豊富な経験に支えられた外交交渉により、戦後日本の基軸である象徴天皇制平和憲法を勝ち取る。憲法9条は、決して押しつけられたものではなく日本をアメリカの戦力外に置くための救国の一大トリックであった。後にニクソンをしてアメリカの誤りだったと言わしめている。本人たちはただ時限的な回避策と考えていたふしがり、60年後の今日まで奇跡的にまがりなりにも堅守してくるとは予想だにしていなかったであろう。

  • Politician(政治屋)は目先の利益を追求し、Stateman(政治家)は何年先を見据えた国益を考える。p111
  • 古来一流政治家の言説は、結果から逆算して初めてその真意が分かる。p112
  • 「アロハオエ」はアメリカに拉致された女王の望郷の歌、プロテストソングである。p125
  • 維新の志士たちは、ナポレオンとワシントンの崇拝者だったので、どうしても天皇を白馬に乗せたがる。武装した天皇は宮廷を滅ぼすと、大正天皇の生母は看破していた。p127
  • 天皇の神格は民衆レベルで顕教となり、機関説は高級官僚や将官クラスにおいて密教となっていた。(昭和初期)p129
  • 古来歴史を振り返れば、勝敗を問わず、よく戦って血を流した民族だけが生き残っている。(チャーチル)。沖縄や硫黄島での死闘が米軍をして本土上陸を思いとどまらせた。p135
  • 戦後10年、マッカーサーは復興の最高殊勲者は天皇であると発言。象徴として戦後の混乱を最小限に食い止めた機能を評価。p147
  • 「闇の男、野坂参三の百年」関連文献

昭和の三傑 憲法九条は「救国のトリック」だった

昭和の三傑 憲法九条は「救国のトリック」だった