靖国

何かと騒がしい靖国神社についての評論集。明治初期に招魂社として大村益次郎戊辰戦争の戦死者を祀ったのが嚆矢。九段という土地柄も、山の手と下町の境界、すなわち勝者と敗者の境であったとの意味合いを重視する。最近の論調は日本の帝国主義の象徴、A級戦犯合祀のみに議論が集中していると批判し、この部分に対する論評は意外なほど少ない。多彩な文献を引用しテーマは多岐にわたるが、逆に焦点がぼけた感じは否めない。編集者である著者はデータの提供に終始したのかも知れない。


靖国 (新潮文庫)

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