海賊と呼ばれた男

出光の創業者である佐三氏がモデル。その生涯は規制、統制との戦いであった。戦前から石油に目をつけ、小売商として海外にも展開。家族主義で意気に応じて働く店員達は同業の脅威となった。戦後は海軍廠のタンク汲み出しが原点。社運をかけてイランからの輸入に成功し、メジャーを相手に渡り合う。徳山の精油所の建設はわずか10ヶ月で終わらせた奇跡。一企業の利益でなく、国家、国民のためを思った経営には頭が下がる。タンカー日章丸がイランへ向かうシーンでは感動的で思わず涙が止まらなかった。長編で読破には一週間を要す。