永田鉄山昭和陸軍運命の男

陸軍の至宝と言われた永田鉄山の伝記。統制派の巨魁で惨殺事件で憤死したというイメージしか一般にはないが、キャリアと実績を丹念にたどることでその実像にせまる。徹底した合理主義者であり、改革は憲法下で行うべしと主張。軍紀の引き締めに挑むが関東軍の独走を止められなず、現実に引きずられることになる。部下に対する配慮もあり、信者は多い。結果として出身閥による抗争を終わらせたが、新たな派閥抗争に巻き込まれることになった。死後翌年には2.26が発生。歴史は加速する。存命であれば陸軍大臣となり大戦を回避出来たろうという説は美化が過ぎるように感じる。

  • 山高ければ風強し。


永田鉄山 昭和陸軍「運命の男」 (文春新書)

永田鉄山 昭和陸軍「運命の男」 (文春新書)