聖林寺から始まり、渡岸寺まで、日本各地の十一面観音を訪ねるエッセイ。美術と歴史に造詣の深い著者の叙述は単なる美文ではなく、読む側に無数の人々の純粋な信仰や想いを伝え奥深い。繰り返されるのは水の流れと白山信仰との結びつき。本地垂迹説では天照大神との関係も示される。小川光三氏による写真もきれいで愛蔵版に相応しい一冊。大部分は観たことがあると思うが、知られていない地方仏や秘仏もあり、機会を見てお寺を再訪してみたいものだ。
- 人間の眼はカメラと違い、見たいものしか見ないし要らないものは捨てる都合の良いフィルター。
- 日本の信仰は山と川によって発展したといっても過言ではない。
- 仏を見ることによって受ける感動が、仏を感得する喜びとそんなに違う筈はない。いや違ってはならないのだ。
- 作者: 白洲正子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/09/01
- メディア: 単行本
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