四月七日の桜

菊水特攻の指揮官である伊藤中将とその家族に焦点をあてたノンフィクション。在米駐在武官の経験もあり親米知性派であった物静かな提督は、皮肉なことに軍令部次長として戦争を指導。最後は死に場所を求めるように艦隊司令となる。無謀な作戦に終始反対で、出撃前には候補生を退艦させ、最後には独断で特攻作戦を中止し多くの将兵の命を救った。家庭人としてはまれにみる愛妻家でありながら長男には厳しく、特攻隊としてその死を覚悟していたようだ。妻も戦後の医療過誤で急死。いまも夫妻の人徳を偲ぶ人々が絶えないとのこと。組織の上に立つ者としてはこうありたい。好著であった。

四月七日の桜 戦艦「大和」と伊藤整一の最期

四月七日の桜 戦艦「大和」と伊藤整一の最期