生きるぼくら

高校時代のひどいイジメにより引きこもりとなった主人公「人生」。母親に家出されやむなく訪ねた蓼科の祖母は痴呆症であった。義理の妹である少女は対人恐怖症であるが、人生と共同で介護と米作りに挑む。祖母の米作りは全くの自然農法で人出がかかり収量は少ない。懸命の努力と近所の人の手助けでようやく収穫を得たシーンは感動的。農業を通して心に傷持つ若い男女が自分を取り戻していく姿が主題。祖母も快方に向かい明るめのエンディング。「人生」という固有名詞は読みづらく冒険であったが、後半はしっくりとなじんできた。この作者にはいつも感心させられる。秀作。

生きるぼくら

生きるぼくら