GNH(国民総幸福)のコンセプトと訪日時の国会での名演説で一気に注目度が集まった国王と美しく聡明な王妃。二人に代表されるブルネイ王室の実像に迫る。作者は何度もブルネイに通いその魅力に魅せられている。決して桃源郷ではなくインド国境の紛争、ネパール難民の問題も抱える。王室と国民と距離は近く、ご成婚パレードはなんと徒歩で山越えされた。現国王が第5代で若い国であり、ベクトルが合わせやすいこともあるだろう。70万という小国のサイズをむしろ強みにかえての国家運営。近代化するが西洋化はしないという名君の誉れ高い先王の方針を引き継ぐ。礼賛一本かと思ったが厳しい視点も併せ持ち、入門書としては良いのではないか。
- 作者: 田中敏恵
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2012/02/28
- メディア: 単行本
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