阿片王

戦前の満州、上海を舞台に阿片の売買により関東軍の機密費を捻出した里見甫。その謎の実像に迫る大作。著者の真骨頂である念密な取材と文献調査で実像を明らかにしようとするが、時間の壁に阻まれ必ずしも完全なものとはなっていない。「右手のことを左手に教えるな」を信念にした大物スパイは自らの謎を秘めたまま他界した。後半は彼を陰で支えた二人の女性(親子)を追う。男装の麗人梅村淳とその母うた。あまりに登場人物が多く、全体像をつかむのは一読では困難。

阿片王 満州の夜と霧

阿片王 満州の夜と霧