そこに日本人がいた

幕末から明治にかけて鎖国の呪縛から解放され、世界各地にに雄飛した日本人たち。著者は丹念な文献、現地調査から、辺境の地に残された彼らの足跡を記録する。第1作の本書では22例が示されるが、貧しい日本を出て海外で一旗揚げようとする民間人のパワー。おもしろいのは洗濯屋、散髪屋と綺麗好きの特性は重宝されたとのこと。もちろん現地で成功するには人知れぬ苦労があったものと思われる。その彼らも晩年は現地での成功を捨ててまで望郷の念にとらわれる一方で、日本の国威発揚に貢献しようとする愛国心を示す。明治人の気概か。忘れてはならぬのがからゆきさんの存在。アフリカモーリシャスからも故国へ送金した健気な記録が残る。好著だがもうひとつ引き込まれるだけの力にかける。焦点が絞れてないせいだろう。続編も見かけたがしばらく間を置きたい。

そこに日本人がいた!―海を渡ったご先祖様たち

そこに日本人がいた!―海を渡ったご先祖様たち