オリンピックの身代金

秋田の貧農出身の東大生が主人公。本来ノンポリであったが、出稼ぎの兄がオリンピック工事の飯場で不慮の死を遂げ、その実像を追ううちに資本主義社会の虚像と矛盾に気づき、戦後日本復興の反映であるオリンピックを妨害しようとする。帰京の車内で知り合った初老のスリが父親代わりの共犯者となる。一方で追う側の警察では、刑事部と公安がそれぞれの立場で国家行事を守ろうとする。周りの配役も見事。視点と時間軸を入れ替え重厚な構成となっている。東京駅での身代金受け渡しなどエンタメとしてのヤマ場も多いが、底流にある主題は社会派的な問題提議。力作でした。

オリンピックの身代金

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