伝説の東京トレーダーと称された著者が、日本をつつむ近未来の経済状況を予測する。現在資産デフレから脱却し景気の上昇局面にある。その継続には円安により国内産業が適正な競争力を持つことが必要。基本的にこの方向性での楽観論。国家の財政破綻を防ぐためには、円安、インフレしかないと一刀両断。個人としては借金をしてでも資産を保有すべきとする。文庫は2007年だが種本は2005年、加筆はされているものの直近のサブプライム問題等は一時的な現象に過ぎないと軽視している。金融に素人の私には新たに知る知識、常識も多かったが各章でもう一段掘り下げが欲しいのも実感。
- 為替の先物レートは2国間の金利差で自動的に決まる。円金利とドル金利での運用結果が円貨で等しくなるようなレート。為替予約しない場合の損益分岐点となる。実体経済で予測されたレートではない。
- 短期金利は日銀が決めるもの、長期金利はマーケットがきめるもの。
- 期間と金利のプロットがイールドカーブ。当然右肩上がりになるはずだが、現在は差が大きくなく「寝ている」状態。金融機関の収益を圧迫している。
- 財政支出(国債発行)には本来長期金利の上昇により歯止めがかかるはずであった。政策的に押さえ込まれたために、財政出動に痛みを感じなくなった。
- 「長短分離」 興銀、長銀、信託=設備投資 都銀、地銀=運転資金。現在は金利スワップにより制度は崩壊
- 作者: 藤巻健史
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/11/21
- メディア: 文庫
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