悪夢のサイクル

ショッキングな警告の書。ネオリベアラリズム(新自由主義)への盲従とマネー崇拝により、日本経済と社会が崩壊する。この陰にはシカゴ学派を理論的根拠とするアメリカの資本の論理があるという主張は形は異なるが森本氏と同じ。アメリカで見られるのと同じく格差の拡大、地方の疲弊はすでにその兆候の現れであり、現在の景気回復は無理矢理に規制緩和を進めたことによる一時的な資本の流入に依存しており、これが引き上げられた時さらなる崩壊が待ち受けている。現行の小泉/竹中およびその後継政権を厳しく批判。解決策としては北欧型の市民参加型社会(共生社会)を提案する。ここまで書いて大丈夫かと心配するほど作者渾身の書。

悪夢のサイクル―ネオリベラリズム循環

悪夢のサイクル―ネオリベラリズム循環


シナリオは以下の通り

  1. 資本自由化
  2. 外資流入によるバブル景気
  3. 通貨価値の過度の上昇
  4. 資金の海外逃避
  5. 規制緩和
  6. 資本流入(バブル発生)

(サイクルを繰り返す毎に振幅が大きくなる) 

経済学上の対立

(その他メモ)

  • シガゴボーイズ達が、南米(チリ、アルゼンチン)で80年代に行った実験は事実上失敗に終わった。
  • イスラムの世界では「正当な労働の対価以外は受け取ってはならない」という戒律があり、ITマネーから見ればひとつの障害となっている。イラク戦争の目的はこれを打破し、資本主義の原則を押しつけることにある。