憑神

機内上映で映画を先に観てしまったが、その原作を読破。(映画が原作に忠実であったため)、筋書きの先が読めてしまうところはあったが、その分細かいところまで読み込めた。主人公は最後の御家人として武士道を全うする。妻子への想いを断ち切るあたりは情感あふれる。役立たずの兄が、時代を見据えた独白をするシーンが印象的である。貧乏神、疫病神、死神はいずれも憎みきれないキャラで主人公の人間的魅力に惹かれていく。神の日頃の仕事ぶりについて随所で宮仕えのサラリーマンを風刺。

「人間は限りある命を輝かせてこそ、神を超越することができる。」

憑神 (新潮文庫)

憑神 (新潮文庫)