片想い

東野圭吾は同世代の技術系卒ということで好きな作家の一人。本作はだいぶ前の長編だが今読んでも全く期待を裏切らない。大学時代のアメフト部のOB仲間の前に、かって女子マネが「性同一性障害」より男性の姿をして現れ、しかも殺人を告白するという大胆な設定。QBである主人公が彼女をかくまおうとする。当然プロットは単純でなく、しっかりした設計がされており、ストーリー展開に従いアメフト部のOBたちがそれぞれのポジションの特性を彷彿とさせる重要な役割を果たし、アメフト好きにはおいしい構成。ジェンダー問題への切り込みも忘れず社会派の一面も。長さを感じさせず、一気に読ましてもらいました。お勧めの1冊。

片想い (文春文庫)

片想い (文春文庫)