孤鷹の天

奈良時代の最高学府である大学寮が舞台。多くの有為の若者が儒学を学ぶ。主人公は遣唐使を目指し、友人、先輩と勉学に励むが、奴婢にもひょんな縁で学問を教える仲となる。恵美押勝の乱道鏡の台頭により、王朝は乱れ、学寮は閉鎖。多くの学生が命を落とす。あまり小説にはなってこなかった奈良期の動乱。皇室内も熾烈な権力争いが行われ、個人の人生もそれぞれ大きな影響を受ける。主題は希望を失わず学問の精華を信じる直向きな姿。題名にもある敗れた側の鷹匠が泣く泣く放った鷹が涙を誘う。600頁を越す大作。面白かったが、読破は結構疲れた。

孤鷹の天 (こようのてん)

孤鷹の天 (こようのてん)