財政リスクを見れば、明らかにバブルでありながら、安定している日本国債の謎を、買い手側のメカニズムから解析する。微妙なバランスである「ハイブリッドバルブ」はアベノミクスによる日銀の大量買い入れで新たな局面を迎え、暴落あるいは安楽死のリスクが高まっていると警鐘を発する。論理は明快で解説も平易。国債は国民の富をもっとも非効率な政府の投資に回すことにほかならず、解決策は民間の活性化とする。その先は具体論述べられず定性的なのが残念。
買い手
- ムーバー 短期売買利益狙い 海外ファンド等:ほんんど存在せず
- ファダメンタリスト ファンダメンタルに基づき短期国債を売買 ;大手銀行、郵貯
- 限定合理的投資家 テールリスクはあえて無視し、金利収益を狙う。長期国債を保持 生保、中小金融機関
上記2&3の売買は相反するので、不思議なバランスが取れてきたのが従来のハイブリッドバブル
暴落シナリオ=生保がムーバーに変身する。具体的には円安でインフレにより国債が大量に売られる。
安楽死シナリオ=金利の低下に従い、中小金融機関が保有期間を長くし、ファンダメンタリストから限定合理的投資家に変身する。危機に際して投げ売りはせず、政府による救済を待つ。
- 作者: 小幡績
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
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