キャパの十字架

戦場写真家であるキャパの残した「崩れ落ちる兵士」の謎を解くノンフィクション。あまりの出来映えに真贋が取りざたされてきた一枚だが、丹念な調査で著者は確信と共にある結論たどり着く。それは死の瞬間を捉えたものではなく、演習中に偶然足をすべらした兵士を恋人のゲルタが撮ったものとする新説。仮説と証明はまるで理系の論文で説得力に富む。キャパはその十字架を背負い余生を生きることになるが、偉大な先輩ジャーナリストとへの敬意は失わない。著者渾身の1冊。

キャパの十字架

キャパの十字架