面白南極料理人

著者は海上保安庁から2度の越冬隊に参加。2度目は昭和基地でなくさらに極点に近いドーム基地で9人で越冬する。主担当は料理。サポート部門である。予算に糸目をつけない豪華なメニューが次々披露される。極限の状態で精神の均衡を保つには必要なのであろうと理解しよう。むしろ彼の真骨頂はとかく殺伐としがちな閉ざされた社会の潤滑油としての機能。何かにつけ宴会を開催し癖のある研究者達を支える。体力無尽のドクターとのコンビも絶妙。文章は決して上手くないがユニークたっぷりに一年間の経験を記録する。好著である。

面白南極料理人 (新潮文庫)

面白南極料理人 (新潮文庫)