密告

元射撃選手の警察官が、署内の不正に絡んで上司に対して密告の嫌疑を受ける。二人の間にはかってのオリンピック代表と一人の女性を争った過去があった。警察の巨大な組織の中で、真相の解明に向けて孤独な闘いを続ける主人公。中盤はなぜこんな陰湿な世界につきあわなくてはいけないのかというような実感。不正を隠蔽しようとする幹部たちの構図が見えてきた終盤では、信じていた恩師と主人公を慕う女子選手の父娘に裏切られるという予想外の結末。エンタメとしてはスピード感が引き込まれたが読後感はもうひとつ。

密告 (講談社文庫)

密告 (講談社文庫)