信州松本の総合病院。現代の地域医療の縮図のような病院で、医者としての使命と人間として生き方に悩む3組の夫婦を描く。今回の主人公は古狐と呼ばれる副部長夫婦。孤高の医師を病魔が襲う。せめてもの励ましを若手3人組が主導し、病院中が協力して実現する。前作を読んでいないと人間関係はつかみがたいが、作品自体は洗練され良い仕上がりになっている。
- 作者: 夏川草介
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/09/28
- メディア: 単行本
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人生がはなから不条理でできている以上、渾身の力を櫂に注いでも進めぬ時がある。進めぬ時に余人の船に体当たりをかまして突進するのは禽獣の道である。我々は人間である以上互いをおもんばかって櫂を休めなければならないときもある。
フランクル「夜と霧」