戦記物。軍法会議をメインにしたのは珍しい。陸軍の法経システムはいかに不条理で上層部の支配のための道具に過ぎなかったことが克明に語られる。特に戦争末期の南方では食料調達に出て、そのまま不明になった兵員が脱走兵扱いされていたとのこと。飢えと疫病との闘いがいかに人間性を蹂躙していくか、記述はくどいほどである。創作にしてあるが史実を元にした重いテーマ。
- 作者: 結城昌治
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2006/07/25
- メディア: 文庫
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