過ぎ去りし王国の城

SFファンタジー。中世の城が描かれた謎の絵に触れると、その中に入ることができる。塔に閉じ込められた少女を助けるべく、中学生の男女と中年男性が、パラレルワールドに挑む。少女は虐待を受けており、成長した自らが閉じた世界に避難させた。さすがの安定感での展開。単純に楽しめました。

 

 

過ぎ去りし王国の城 (角川文庫)

過ぎ去りし王国の城 (角川文庫)

 

 

平成はなぜ失敗したのか

平成30年の経済史を振り返る。実質成長はなく完全な停滞期であった。政府は近視眼的な政策の連続で、問題の先送りを繰り返す。最大の課題は産業の構造改革。脱工業化が求められる。高齢化、中国の台頭と課題は多いが、民間から変えていく気概が求められる。政府の役目は規制緩和。やや概論的な感が強いが、論旨は平易、明確。

 

 

 

月の裏側

著者は仏の人類社会学者。日本と西洋の比較文明学。神話を手掛かりに研究を進めるが世界各地の神話は驚くほど類似性が高い。人類の移動に伴い形を変えて伝わっていったと思われる。日本は極東で文化が蒸留され純粋な形で残っているとする。恥ずかしいほどの日本びいき。最近劣化しているのでないかと危惧する。結構高度な内容。理解は7割程度。

 

 

 

プラージュ

社会派ミステリー。気の迷いから覚醒剤使用で執行猶予の刑を受けた主人公。焼きだされ身を寄せたシェアハウスは過去に同様の経歴を持つ住人が巣くう。女主人の想いから設立された私的な厚生施設。潜入記者も含めて謎解きが表看板だが、主題は前科者への社会の厳しさ。一度の過ちを許容できない世界。物語は悲劇に終わるが、明るい希望が待っている。読者にも謎解きに参加させる形式のミステリー。読ませる力は流石。

 

 

プラージュ (幻冬舎文庫)

プラージュ (幻冬舎文庫)

 

 

20年続く人気カフェつくりの本

茨城勝田を本拠とするサザコーヒー。熱烈な固定客をつかみ、着実に業容を拡大する。基本は本格的なジャパンコーヒー。自社農園を持つなど味にこだわる。地元への貢献など足元もしっかり。本書はカフェ経営を目指す人々へのガイドブック的な意味合い。カンブリアで紹介された。一度訪問したい。

 

20年続く人気カフェづくりの本 ―茨城・勝田の名店「サザコーヒー」に学ぶ

20年続く人気カフェづくりの本 ―茨城・勝田の名店「サザコーヒー」に学ぶ

 

 

日本の論点2019-20

最新の評論集。政治、経済を中心に世の中の情勢に辛口でコメントする。安倍政権の経済運営は時代遅れ。いくら緩和しても需要に繋がらない。金融経済は実態と乖離しておりブラックマンデーのリスクはある。トランプ追従の外交は評価されない。後継の有力は小泉ジュニア。EVシフトの中でトヨタのPHVは有力。アピールの方向性を変える必要がある。プレジデント誌の連載。若干の時差は気になる。

 

 

日本の論点2019~20

日本の論点2019~20

 

 

 

 

ねじとねじ回し

過去1000年に発明された最も価値ある道具を探る。結論はネジ。螺旋構造自体はアルキメデスを父とするが、工具として実用化されたのは15世紀ごろ。武器の発達が契機となる。幅広い技術史の探訪は知的興奮を呼ぶが、翻訳だけにやや読みずらい部分もあったのも事実。

 

-発明とは技術者の詩作

-製品で伝えるのも立派な自己表現

 

 

ねじとねじ回し この千年で最高の発明をめぐる物語 (ハヤカワ文庫NF)

ねじとねじ回し この千年で最高の発明をめぐる物語 (ハヤカワ文庫NF)