歴史学者と歌人の共著、天皇の御製から昭和史を見直そうとする。昭和天皇の和歌は驚くほど真情が表に出ており、確かに歌人として一流であったと評価できる。残念なのは戦前は歌会始つまり一年に一首しか公表されておらず、しかもそれは厳しい選定を経ての上であろうから、激動の時代の記録としては絶対量が不足している。戦後はかなり自由に折々の気持ちが歌われている。歌によっては複数の解釈が可能であろうが、本書では第四句に注目して和歌を講じる。あまりバイアスがかからず人間天皇の真の姿に迫っている印象。意外とあたりの一冊。
- 作者: 辺見じゅん,保阪正康
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2012/02
- メディア: 単行本
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