よみがえる昭和天皇

歴史学者歌人の共著、天皇の御製から昭和史を見直そうとする。昭和天皇の和歌は驚くほど真情が表に出ており、確かに歌人として一流であったと評価できる。残念なのは戦前は歌会始つまり一年に一首しか公表されておらず、しかもそれは厳しい選定を経ての上であろうから、激動の時代の記録としては絶対量が不足している。戦後はかなり自由に折々の気持ちが歌われている。歌によっては複数の解釈が可能であろうが、本書では第四句に注目して和歌を講じる。あまりバイアスがかからず人間天皇の真の姿に迫っている印象。意外とあたりの一冊。