レッドゾーン

コロナ感染の初期。舞台は長野の公立病院。唯一の感染症指定病院となり、陽性者を受け入れる。立ち向かうはわずか3人の内科医のチーム。それぞれの事情を抱え、考え方も異なるが、厳しい対応の中でやがて一体感が生まれて行き、院内で協力者も現れる。ワクチンも未だなく、圧倒的な情報不足、やがて配給制となる資材不足。さらには周囲の無理解。不条理の中で彼らを動かしたのは、義務感や使命感ではなく、むしろ人間としての美学の世界。おそらく全国の名もなき医師たちは同じ思いで立ち向かったのだろう。あらためて感謝。感動的な好著である。