ゴッホの耳

有名なアルルでの自傷事件。耳をそぎ落とした画家の真実に迫る。膨大な公文書を解き明かし、当時の住民のデータベースを作成するという地道な作業。発見は医師のスケッチから切り落とされたのは耳全体であったこと。送ったのは娼婦ではなく貧しい掃除婦だったこと。牧師の息子であったゴッホは利他の心が強烈であったとの好意的な解釈。今となっては真実を確定することは難しいが、新たな発見に満ちた刺激的な一冊。翻訳本ならではか記述が重厚で、展開が遅いのが減点対象。