村上海賊の娘

歴史長編。戦国時代の海賊王村上武吉の娘が主人公。父の資質を最も引き継いだヒロインが木津川海戦に臨む。戦いの悲惨さに一度は引きこもるが、本願寺に残して来た信徒を想い、再び鬼手として水軍を渦中に巻き込む。周囲の登場人物はみな史実上の実在人物。中でも泉州海賊を率いる真鍋の当主が圧倒的な存在感で描かれる。前半はコミカルに後半は重厚な描写。戦闘シーンがさすがに長くやや疲れた。文庫本で4冊の大作。

 

村上海賊の娘(一) (新潮文庫)

村上海賊の娘(一) (新潮文庫)

 
村上海賊の娘(二) (新潮文庫)

村上海賊の娘(二) (新潮文庫)

 
村上海賊の娘(三) (新潮文庫)

村上海賊の娘(三) (新潮文庫)

 
村上海賊の娘(四) (新潮文庫)

村上海賊の娘(四) (新潮文庫)

 

 

 

知ってはいけない現代史の正体

独自の視点、史観から現代史を論じる。すべてはユダヤ財閥の陰謀だとする極論。彼らの目的は国家単位を超えたグローバリズム。これが正だとすると為政者は自国民を犠牲にしてまで、陰の政府に尽くしたことになり、にわかに信じがたい。トランプはその闇の力にまっこうから反対していると擁護。問題の書。

 

 

 

 

人生の諸問題五十路越え

都立小石川高校早稲田大学と同級生の二人の放談。すでに還暦を超え、来し方を振り返る。コラムニスト、広告マンとしてそれぞれ豪放な生き方。江戸っ子としての矜持もある。豊島区、北区の争いも面白い。清野氏のつっこみもなかなか。世代として少し上だが愉しく拝読しました。

 

 

人生の諸問題 五十路越え

人生の諸問題 五十路越え

 

 

オムライス日和

続編。新宿近くの横町にある。BAR追分。そこに巣くう主人公は物書きの修行中。商店街の管理人として地域の世話をする。4篇からなる本書は彼の周囲におきる些細な事件から人の触れ合いを描く。登場人物はそれぞれ事情を抱えながら皆良い人でほのぼの感あふれる仕上がり。昼間のバールで出される食事が美味そう。

 

 

オムライス日和 BAR追分 (ハルキ文庫)

オムライス日和 BAR追分 (ハルキ文庫)

 

 

防衛大式最強の仕事

著者は防大卒の経営コンサル。本書は防大での厳しい教育を実社会で活かす経験が主題。厳しさに新入生は100人単位でやめるという。基本は逆算志向の目的達成方式。極めてシンプルでロジカルである。明確な上下関係の中で繰り返し基本を叩きこまれ人材は育つ。ビジネス社会でも抜きんでるのはよくわかる。興味深く読めた。

 

 

何があっても必ず結果を出す! 防衛大式最強の仕事

何があっても必ず結果を出す! 防衛大式最強の仕事

 

 

真実の終わり

警告の書である。ポストモダニズムとITの発展により、客観的な事実報道が伝わらない時代になっている。これを利用しているのがトランプ政権とプーチン。巧みな情報操作はナチススターリンを思い起こさせる。対策は各個人が耳障りの良い情報だけでなか、幅広い視野を持つしかない。翻訳かつ硬い内容で難解な部分も多いが、作者の言わんとするところは十分理解できた。

 

 

真実の終わり

真実の終わり

 

 

栄光のノーサイド

戦前の豪州で活躍した日系人ラガーマンの物語。全豪代表にまで選ばれた才能の持ち主。戦争に巻き込まれ、日本軍の捕虜となる。収容所長の世界を旅する陸軍大尉が経験者で親睦試合を開催。このあたりはフィクション。最後は輸送船が撃沈され仲間を救いながら帰らぬ人となる。無事帰還するとの愛しい恋人との約束は果たせず。戦後数十年を経て関係者が集い彼を偲ぶ。史実をベースとした創作だが、結構感動。戦争の悲惨さと人間の本性の美しさ。Aでしょう。

 

栄光へのノーサイド

栄光へのノーサイド