生きがいについて

精神科医である著者の代表作。名著をコレクションとして再版。ハンセン氏病の患者との触れ合いを通して、人間の生きがいを学究的に突き詰める。人としての喜びは子を産んだ直後の母親に代表される。どんな人生でもそこに意味を見出し、何かを残すことができれば幸せ。どうしても哲学的、宗教的な観点がかかせない。患者でも悟りの境地に達することができた人は幸福な余生を送ることができる。7年をかけた大作。よく整理されているといえるが、難解な部分も多く生半可では歯が立たない。

 

 

生きがいについて (神谷美恵子コレクション)

生きがいについて (神谷美恵子コレクション)

 

 

京大芸人

ロジンの菅が、自らと相方宇治原の受験生活を描く。二人は高校の同窓生。おそらく大教大天王寺。その中でも宇治原の学力はずば抜けていた。吉本のオーディションに合格するまでを面白おかしく記述。本人のセンスも相当なもの。大半が受験ノウハウ本の様相。愉しく読めました。

 

 

京大芸人 (幻冬舎よしもと文庫)

京大芸人 (幻冬舎よしもと文庫)

 

 

雨にも負けず

著者最新の経済小説。主人公は初の契約社員として損保に入社。圧倒的なパフォーマンスで高収入を得る。その後独立して成功するが、IT業界に魅せられ転職。創業者は天才肌だが人格的に問題があり苦労する。やがて株主のファンドから見込まれ社長として再建に辣腕を振るう。勝因は学生時代から築きあげた信頼のネットワーク。迫力とスピードある展開は流石。御年80歳とは思えない筆の冴えである。久々に高杉ワールドを堪能。

 

 

雨にも負けず 小説ITベンチャー

雨にも負けず 小説ITベンチャー

 

 

敬語で旅する四人の男

不思議な縁で結ばれた四人の男。それぞれ抱える問題を解決すべく旅に出る。家族の問題や過去の恋愛。発達障害を持つ天才キャラである主人公が巻き起こす騒動。おかしな行動と直情的に本質を見抜く力が同居する。最終章は彼の恋愛話。思わす祝福したくなるエンディング。ほのぼの系。

 

 

敬語で旅する四人の男 (光文社文庫)

敬語で旅する四人の男 (光文社文庫)

 

 

温室デイズ

中学校のイジメが主題。中三の後半に主人公がターゲットになる。荒れた学校は常に獲物を求めている。親友はフリースクールに逃げるが、ヒロインは敢然と耐え忍ぶ。卒業間近になり、ようやく流れが変わる。最後は体を張って大団円。一人一人の一歩の勇気が大切。テーマもあるが一気に読ませる力はさすが。

 

 

温室デイズ (角川文庫)

温室デイズ (角川文庫)

 

 

あぽやん3

シリーズ第3弾。モデルとなるJALの破綻を境に、現場の変革が進められ、労働強化が図られる。中間管理職として狭間のあぽやんは鬱を発症し出社できなくなる。顧客本位の仲間たちの精神はそのまま、ラストは老夫婦手助けすることで何とか復帰を果たす。出張所は閉鎖。本人は海外赴任となる。恋愛は成就の兆し。面白く読めたが、さすがに初出の鮮烈さは無い。

 

迷える空港 あぽやん3 (文春文庫)

迷える空港 あぽやん3 (文春文庫)

 

 

天才を殺す凡人

人間の才能を3種に分ける。天才、秀才、凡人。ストーリー仕立てで展開。イノベーションを起こすのは天才だが、通常のKPIでは数値化できず評価されない。秀才は天才を敵対視し、凡人は天才を理解できない。各集合の交わりを占めるキーパーソンが重要。単純だが斬新な理論と分析。ブログで発表し、フォロワーのコメントを巻末に掲載するあたりも新しい。終始気になる一冊。

 

天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩む、すべての人へ

天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩む、すべての人へ